私は実のところ、人見知りだ。でも誰もそれを気づいてくれない。あぁ面倒だ。
でも周りの人たちは悪くない。だってすごく分かりにくい人見知りだから。初対面の人や大人数を前にすると、話を振り、大袈裟な相槌を打ち、時にはツッコんだりおどけたりしながら場を盛り上げるのだ。そうすることで自分のパーソナルな部分を一切隠し、無理に殻を破る必要がなくなるからだ。こんな振る舞いをするやつが人見知りだなんて、ほとんど誰も予想しないし気にもしない。
こんな風にこじれきってしまった人見知りだから、実のところ人があまり好きではないというのを悟られる事もほぼなかった。もちろん、自分が気の許せるごく僅かな人たちのことは大好きだし、その人たちのことはずっと大切にしていきたいと思っている。だからと言って、今会ったばかりの人に凄く興味が湧くかというのは別なのだ。
(ここまで、ついてきてくれているか凄く不安だ。「は?」となっている人が多そうなので、すごく怖い。)
とにかくそんな性格なので、ロサンゼルスという都会で暮らすのは正直疲れる。なんというかもう、疲れ切っている。そうしてボロボロになったころ、バージニアの田舎に住む友達に連絡する。いかに人は自分勝手でめちゃくちゃで、こちらの心身をエグい程削ってくるかを語り合うと、少し気と胃が楽になる。こんなことを繰り返している。
2022年の頭、そんなイライラが募って本当に参ってしまった。友達は、私がいつもの様に笑って済ませられる程度じゃないことを悟って、トーンを変えてこんなことを言ってくれた。
「私も人が嫌いだけど、いい人っていうのは絶対にいるの。ただ嫌な人たちがうるさくて、邪魔されているのよ。いい人たちって静かだから、自分から主張したりしないの。図書館で働いていたらおじいさんが優しい言葉をかけてくれたり、おばあちゃんは近所の人から沢山の家具を譲ってもらったりしてる。そんな人たちも確かにいるから、そういう人たちに目を向けないといけないの。」
バス停で号泣してしまった。
そんな良い人たちの為に何かを作りたいし、そんな人たちに目を向けられる様にならなくてはと思った。
以前から作ってみたかったスエットをボディに決め、友達が好きなキャンドルとコーヒーをそのままグラフィックにした。影を大袈裟につけて、静けさを強調してみた。
QRコードのコンテンツは、そんな「Good Ones」に感謝の気持ちを示せるようなものにしたかった。
Instagramのフィルターを手紙の様にして、「目の前のものであなたのことを想ったよ」と伝えられる仕組みだ。
この教訓を学ぶきっかけをくれたロスの街には、地元スポーツチームの色である鮮やかな青がぴったりだ。薄いピンクは優しげで、青地に映える。
そんな流れで出来上がったスエットを、その友達が着ているのが送られてきた。人っていいかもって本気で思った。
ピンバック:Good Ones Are Quiet – Play It By Ear